てんかん治療の進め方

てんかんの治療の基本となる薬物療法から、外科的治療施行に至る流れを下図に示します。

第一回 図表

 

繰り返すてんかん発作に対して、てんかんの診断及び発作型の確認の後、第一選択薬を単剤で開始することになります。開始後、第一選択薬を漸増し、治療効果を判定します。十分量を投与しても、発作の抑制が困難な時は、他剤への変更あるいは併用を行います。次に第二選択薬を漸増し治療効果を判定します。このステップを繰り返しても発作抑制が困難な症例に対して外科的治療を考慮することとなります。なお、どの程度の発作頻度までを許容するか、何種類の抗てんかん薬までを試すか、治療効果の判定をいつ行うかなどについては個々の患者様の年齢、社会活動度などの様々な因子によって変化するため定まっておりません。てんかん治療の流れは臨床医に大きく委ねられていると言えます。

なお、2000年にNew England Journal of Medicineという有名な雑誌に発表されたデータでは、最初の薬剤で発作が抑制された確率は47%であるのに対し、2番目の薬剤では13%、3番目もしくはそれ以上の薬剤では4%と報告されています。適切な薬剤治療によって、60%以上の症例で発作抑制が見られるという結果である一方、発作抑制の見込みが少ない状況で薬剤治療を続けることの不合理さを示したデータであるともいえます。(Early identification of refractory epilepsy. Kwan P, Brodie MJ. : N Engl J Med. 2000)