ロボットガイドによるSEEG(定位的頭蓋内脳波)について

難治性てんかんに対する定位的頭蓋内脳波(Stereotactic electroencephalography: SEEG)は、2020年より本邦で保険収載がなされた診断的外科手術です。この手法は、従来行っていた脳表に敷く硬膜下電極とは違って、脳に刺入するタイプの電極でてんかんを診断する方法です。SEEGは「硬膜下電極留置を行った上での診断と切除」というこれまでのてんかん外科治療の標準的な段階的治療を「手術適応」と「手術戦略」において変容させる手段です。主な要因としては(1)開頭を要さないSEEGは、硬膜下電極よりも侵襲性が低い診断的手術であり、電極抜去は局所麻酔下で行えること、(2)てんかん発作の広がりをネットワークの概念で捉え、領域単位での切除が計画されること、が挙げられます。硬膜下電極に比べて発作抑制率が向上するか否かは、手術適応が異なることから比較は難しいですが、諸外国でSEEGの使用割合が硬膜下電極の使用割合を上回っていることを鑑みると、我が国でもSEEGの使用割合が上昇してくると考えられます。

われわれの施設では、Medtronic社のStealth Autoguideを導入してロボットガイド下SEEGを開始しました。以後、多くの患者さまに対してロボットガイド下SEEGを行ってきました。現在では、入院から退院までのSEEGの流れは概ね定型化しています。