発作症状

てんかんの発作症状としては様々な発作型があります。発作をビデオで見ていただくのが一番わかり易いのですが、患者さまを特定しうるビデオのWeb公開はできません。大塚製薬・ユーシービージャパンが運営しているWebサイト「てんかんinfo」内に、発作をビデオで解説したページがありますのでご紹介しておきます。(本ページへのリンクに関しては、大塚製薬・ユーシービージャパンからの許可を得ています。)次に典型的な発作型について文章で示します。

1. 部分発作:脳の一部分が興奮して起こる発作

単純部分発作(焦点性意識保持発作):意識の変容、消失を伴わない部分発作を単純部分発作といいます。片側の顔や手足のけいれんの症状は、分かり易い単純部分発作の症状ですが、てんかんが起こっている領域によっては、視野異常、吐き気などの自律神経症状、しびれなどの感覚症状、精神症状なども単純部分発作の症状として現れる場合があります。

複雑部分発作(焦点性意識減損発作):意識の変容を伴う部分発作を複雑部分発作といいます。発作中は周りから話しかけても本人は応答することができず、本人も発作中の事をはっきりと覚えていないことが通常です。複雑部分発作は、主に側頭葉てんかんの特徴とされていますが、前頭葉を起源とする事もあります。側頭葉の複雑部分発作の特徴としては、①比較的長い発作持続(2-3分) ②自動症(もぐもぐと口を動かす、唾を飲み込む、目的のないもぞもぞとした手足の動作を繰り返すなどの動作) ③側頭葉の内側の基底核に発作が及ぶことによるジストニア肢位(片側の手の不自然な捻れや硬直 などが挙げられます。次に、前頭葉の複雑部分発作の特徴としては、①短い発作持続時間と高い発作頻度 ②動きの激しい自動症 などの特徴があります。

2. 全般発作:脳の全体(大部分)が興奮して起こる発作

強直間代発作:
強直間代発作は、強直相と間代相からなる全般発作をいいます。強直相とは、急激に全身の筋肉の収縮が起こる相で、突然始まります。間代相とは強直相の後に起こる律動的な反復する四肢の痙攣をいいます。全般発作なので患者様は意識を消失します。
部分発作が全般化する「二次性全般化」でも、発作の型としては強直間代発作を来しますが、発作の分類としては区別されます。

脱力発作 (転倒発作、失立発作):突然の四肢脱力が起こる発作を脱力発作といいます。筋緊張が突然低下するため患者さんは、突然地面に倒れるため外傷が頻発します。てんかんの強い異常波が左右の大脳半球で一瞬にして同期した場合に発生することが一般的です。

ミオクロニー発作:ミオクロニーとは、突然の筋収縮を指し、顔面や手足に発生します。それぞれの発作は一瞬であるため、意識消失は一般的には伴いません。この発作は短時間の間に反復することが多く見られます。時に全般強直間代発作を伴います。脳波では発作時にも発作間歇時にも、左右の大脳半球の広い範囲で多棘徐波が見られます。

欠神発作:
典型的には突然始まる数十秒間の「ボーっとして動作が止まっているような」発作です。通常は、発作中は受け答えができない状態となります。発作中の脳波では、3Hzの棘徐波複合が出現します。発作型、脳波などが典型的でない欠神発作は「非定型欠伸発作」として区別されます。

強直発作:手足に力が入る(強直)発作で、通常は数秒から10秒程度で終わります。多くの場合、ウエスト症候群やレノックス・ガストー症候群といった小児期のてんかん発作の一型として出現します。

てんかん性スパズム:主に小児の発作型で、数秒間の概ね両側性の筋収縮とそれに対応する脳波所見を特徴とする発作です。一回の発作時間は短いですが、何度も繰り返すことも多くみられます。発達への影響も危惧される発作型です。