脳深部刺激術 (Deep Brain Stimulation:DBS)

2023年12月に、新しいてんかんの外科治療として脳深部刺激術(Deep Brain Stimulation:DBS)が保険収載されました。(ヨーロッパでは2010年、アメリカでは2018年に認可。) 脳の視床という部分に刺激電極を留置し、胸部に埋め込んだ刺激装置から持続的に電気刺激することにより、てんかん発作を緩和するという機序です。この治療は、迷走神経刺激術(VNS)と同じく緩和的な外科治療ですが、脳を切除することなくてんかんの頻度や程度を減らすことができる手術です。海外の報告では、7年後の発作減少率の中央値は70%、発作が50%以上減少した方の割合は1年目で43%、7年目で74%とされています。発作以外にも生活の質(QOL)の向上や高い患者満足度が報告されいます。現在のところ、視床前核のみが刺激部位として認可されているため、適応は局在関連てんかんのみですが、今後、全般てんかんにも適応は拡大してくると考えられます。我々の施設では、全身麻酔をかけた後に、レクセルフレームという定位脳手術装置を頭部に装着し、術中CT(O-arm)で高精度のレジストレーション下にこの手術を行っています。