主に転倒発作に対する脳梁離断術

両側の大脳半球がほぼ同時に異常放電して転倒発作をきたすようなてんかんに対しては、脳梁離断術が有効です。脳梁とは左右の脳をつなぐ最大の交連繊維です。

 

脳梁離断術とは、この脳梁を離断することにより異常波の対側半球への伝播を防ぐ手術法です。失立発作、てんかん性スパスム(手足や頭部に1~3秒間力が入る発作)、強直間代発作、欠神発作などの発作をお持ちの患者さまに適応があります。主に内科的治療が行われているウエスト症候群やレノックス・ガストー症候群などのてんかん症候群の患者様にも上述したような発作を軽減するために行うことがあります。

脳梁離断術の転倒発作に対する手術効果は高く、全離断を行った場合、転倒発作は90%程度の患者さまで消失するとされています。離断症状の出現には注意することが必要ですが、小児では全離断でも離断症状が出ることは少なく、むしろ術後の精神活動や運動能力が改善することが多いのも特徴です。なお、成人例では急性離断症状を避ける目的で二期的な脳梁離断術を行っております。

手術前後のMRIを示します。写真の左側が前方、右側が後方になります。この例では脳梁の前方2/3が離断されているのがわかります。

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