頭皮脳波装着下の長時間ビデオ脳波モニタリングは、主に下記のような目的で行われます。
(1) 発作がてんかんかどうかを確かめる。
(2) 局在関連てんかんの焦点を確かめる。
(3) 外来の検査ではなかなか捉えられない脳波異常を見つける。
(4) 外科治療や内科治療の効果判定。
外科治療においては(2)が特に重要です。てんかんの焦点を同定するために、発作時の症候はとても大事になります。例えば、側頭葉てんかんではぼんやりするような意識減損や、口部自動症などが特徴的な症候ですし、前頭葉てんかんでは左右差のある四肢の運動が特徴的であったりします。また発作時の脳波をビデオと同時記録することにより脳波上で発作の始まりや広がりを確かめることができます。測定中は、抗てんかん薬を減量したり中止したりして発作がでやすい状態にすることもあります。つまり、この検査は発作の症状と発作時の脳波を同時に記録することができる大変有用な検査です。
ただ、この検査を行える施設が(特に大人では)限られているという問題があります。当方では可能なかぎり、(1)から(4)のすべてについての検査を行っています。
検査の為に、まずは約20個の頭皮脳波電極をつけます。短髪にする必要はありませんが、長髪の方は電極が剥がれやすい傾向にあります。電極が剥がれにくいように電極をテープ固定し、さらに上からネットや包帯で補強します。トイレ、着替えなどのプライベートな時間を除いて脳波とビデオの同時記録を終日行います。短い場合で1日、長い場合では1週間程度の記録を行います。患者さまにとっては、日常生活動作が制限される為、ストレスの多い検査ですし、わざと発作が起こりやすい状況にしている為、体への負担も比較的大きいと考えています。しかし、治療方針を決める上で極めて重要な検査であり、多くの方に行っている検査となります。